マドモアゼルジジの感光生活

リリーのすべて

ゲルダの描いたリリー
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Gerda Wegener, Queen of Hearts (Lili), 1928. Photo: Morten Pors参照

エディのファンでありながら、、、映画が終わって場内嗚咽の中、エンドロールも観ないで立ち上がってしまった。上質な作品で映像はきれいなのに、テーマが散逸している印象。ストーリーはゲルダの献身が目玉ではなく、画家ゲルダからでさえ、リリーは解放されなければならなかったところにあると思ったのですが、そのためかどうか、感激がいまひとつ

一説に拠る(上記リンク)と、実際のゲルダは道徳や私生活にルーズであったため、画家仲間から除け者にされていた。また性的にフリーで、男も女も愛せる自由な女性だったようだ。ゲルダが絵のモデルに選んだのは、女装をすれば、だれにも男だとは気づかれないリリーという名を持つ画家であり、彼女の夫であるアイナー・ヴェイナー。彼らは1912年にオランダからパリに居を移し、ゲルダも「よき女性のモデル=夫」を得て成功する。アイナーは世界初の性別適合手術を受け、その後子どもを生めるように望んだ最後の手術がうまくいかず、1931年に命を落とす。現実のヴェイナー夫妻には、ある種の共存、依存、利害関係(妻は絵のモデルとしての夫と離れらない)があり、ゲルダに限って言えば、当時(1900年代はじめ)の社会規範の中では破格の自由度を持ち合わせた女性だったことから、トランスジェンダーに悩む夫を受け止める下地があったこともうかがい知れる。

それはさておき、フーパー監督は『世界で初めて女性に変身した男と、その妻の愛の物語』(実話ではなく脚色されている)をもとに「真実の愛の物語」の映画を製作している。「真実の愛」をテーマに掲げて、ゲルダとアイナー(=リリー)のどちらに焦点を当てたのか、どちらにもというのであれば、視点の揺れはなかったのか、と思ったり。たいてい評価が私とは大きくずれるカイエ・ド・シネマが★★。今回は同感。どうやら共通点はトム・フーパー監督が好きじゃないということみたい(お好きな方sorry)。ちなみにカイエ・ド・シネマは同監督の『英国王のスピーチ』には★★、『レ・ミゼラブル』には★をつけている。

映画を観たあとは、お腹が空きました。深夜帰宅後、ピザパイと野菜サラダに、パイナップルのお酒をすこしとお茶を入れる。すてきな絵を残したふたりの美術展も観たいですね。
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この絵そのままの故郷=リリーの原風景

by mllegigi | 2016-04-08 01:48 | 映画