お内裏さま

夢のなかにこよいもお訪ねくださるであろうあなたの
足もとを照らすようにと
枕もとのあかりをつけたまま眠ると
まぶたのうちらは
灯を入れたぼんぼりのようです。
その明るさのなかへ
はらら はらら 桃の花が散ります
ろうぜき というほどのものではないにしても
すこしお酔いになったあなたが
花の枝をたたきたたき
おいでになりますからでしょう
でもあなたは
いつまでたっても障子にうつった影絵のようで
うすあかいのは桃の花ばかりで
はらら はらら
わたしもすこし泣いたのでしょうか
ぼんぼりが揺れて
あなたの影絵もにじんで消えて
こよいの夢は
ひんやりつめたい花びらばかりとなりました
(『春寒』新川和江より)
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by mllegigi | 2018-03-02 15:35 | 好きな場所、もの、ことば、ひと