黄色の憂鬱

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30年ほど前にフランスで暮らしていたとき、差別らしきものがあったかというと。
クリスマス休暇で帰国するカップルに同行して、フランスからイタリアまで汽車で旅をすることになったとき。途中、フランス国内で乗り換えがあり、早く用意ができた私は荷物を抱えて、扉が開くのを待ち構えていました。汽車が停まり、ステップを降りると、うしろからおじいさんも降りてきて、こう言っていたのでした。「この女は黄色人種のくせに、敗戦国の人間のくせに、わしより先に降りやがった。許せん」。イタリア人が飛んできて「いやいや、彼女は僕たちの友人なんです。許してやってください」と、とりなしていましたが、私は謝る必要なんてないわと思っていました。

もう一つは、朝市へ買い物に出かけたとき。狭い道で、やはりおじいさんから、すれ違いざまに「黄色人種」と言われたこと。jeuneじゃなくてjauneって言ったわよね。若かった私にとっては針の先で突かれた程度のダメージだったのですが、明らかな差別だったなあと思い返すと、古傷がちくっと痛みます。パリに住む友人は、地下鉄で「日本人がグッチを持っている」と言われたとか「汚い○○人」とかそのうちいろいろ聞き取れるようになるわよって。その後、彼女はフランス人と幸せな結婚をしていますし、あれから時が経ち、戦争を知る人も少なくなり、時代も成熟し、このようなことは、もう言われなくなっているのじゃないかと。

昨日ニューヨークの地下鉄で「ユダヤ人は焼却炉に」「ヒトラー万歳」などといったイスラム教徒やユダヤ教徒に対するたくさんのいたずら書きが出現したものの、2分ほどで乗客たちが協力して消したというニュースを見ました。何十年何百年たっても人種問題は根が深いのだと改めて思い知らされました。ポリティカル・コレクトネスは表面的であったとしても、やはり広く浸透してほしい大事なマナーだと思います。レディガガさんが「寛容」を訴えたステージ。一番はじめの曲GOD BLESS AMERICAもプロテストソングになっています。元とは違うこの部分の歌詞にメッセージが込められています。
This land is your land, this land is my land,
this land was made for you and me.
ーOne nation, under God, indivisible, with liberty and justice, for all.



by mllegigi | 2017-02-06 20:40 | 好きな場所、もの、ことば、ひと